ブルース・リー映画ほど世界中でバリエーションの多い映画はあるのであろうか?
その中でも、日本人が最も愛する、そして一番カッコよく感じる日本公開版。
しかし!その日本劇場公開版は現在ではビデオ&劇場で見ることが出来ません。

そんなわけで、私(AK)は個人で制作する事にしました。
もともと、ビデオ関係の仕事をしている為以前から作れる環境にありましたが、現在では
ある程度の技術と機材があればパソコンを使ってそれらも可能な時代となりました。

そんなわけでここで私が編集した過程を公開し、可能な方には挑戦していただければと思います。
また、日本劇場公開版を知らない世代の方々にもその違いをHP上で感じていただければ幸いです。

準備する物

●素材になるビデオテープもしくはDVD(当たり前ですがこれがないとお話になりません。)
●ビデオデッキ(録画するものです、アフレコが出来る物がベストです。)
●パソコン(ビデオ編集するにも音声を編集するにも大変役に立ちます。なくても大丈夫ですが、あればGOOD!)
●MDレコーダー(音声を録音する物です、カセットでもOKですが精度が違うのでMDがお勧め)
●コ○ーガードキャ○セラー(ビデオやDVDではガードが、かかっている物が多くダビングするためにあったほうが・・・)

以上が最初に準備した方がいい者達です。
では、制作に進みましょう!!



制作レシピ 第1回 1975年日本劇場公開東映洋画配給

最後のブルース・リー
ドラゴンへの道

多分、皆さんが一番気になる作品と思います。
「ドラゴンへの道」に関して今回で2回復刻作業をしたわけですが、結局のところ大きく変わったところもなく一部前作を変更した形と
なりました。というのも4年前に復刻した時とあまり素材が増えていなかったというのが正直なところです。
まあ、こんな内輪話をしても仕方ないので本題に入ります。
この製作法は私が実際に編集した方法です、私自信映像コレクターでないので、所有している素材を元にお話をさせて頂きます。
また、復刻は劇場公開時の劇場録音を元に復刻しております。

素 材

●ドラゴンへの道(LD)ビーム
●ドラゴンへの道(LD)ポニー
●TV放映版ドラゴンへの道
●TV放映版ドラゴンへの道(副音声)音声で必要
●シングル盤ドラゴンへの道(歌 マイク・レメディオス)及びB面 ビッグ・ガイ
●LP盤ドラゴンへの道(ブルース・リー讃歌は不可)大丸商事のCDがあれば問題なし。

基本的に上記の素材で作りました、なければ他の素材で構いませんが、私がビームのLDを使った理由はタイトルが自分の所有する物で
唯一公開当時の英語タイトルの為です。
他の物は英語と漢字が出るタイプです(ビームDVD&ポニーLD&香港DVD&UK香港レジェンドまでも同じ)
他にFOXのDVDもあったのですが、リターンオブだし、それ以降のロゴも違います。
そういう訳でビームLDをメインに使いました。

復刻版制作

最初に「ドラゴンへの道」の復刻作業は英語版を元に怪鳥音を広東語版に入れ替えるという作業がほとんどです。
自信のある方はレッツ!チャレンジ!

まず、ドラ道の最初の課題が一番の難題タイトルに入る前の東映洋画オリジナルテロップです。
この部分でシングル盤のマイレメ主題歌が2番までかかります。
しかし、ここの部分が曖昧で未だに絶対にこうだ!という方にお目にかかっておりません。

これが復刻したオープニングタイトルです。
TV放映のエンディングの龍をキャプチャーしてパソコンにて画像加工しました。
ちょっとした技術があれば簡単に出来ると思います。

自分としては東映洋画配給から龍の絵をバックにドラゴンへの道とテロップが出たまでは記憶しておりますが、それ以降は覚えておりません。
黒バックに文字があったという方やブルーのバックだったという方や、まだ決定打がありません。
そのため今回の復刻は龍の絵をずーっと入れてしまいました。(これは本当にわかりません、自信のある方はお知らせください。)
その画面のバックにはマイレメの歌が流れつつ2番の最後でぶつっ!と言う感じで、おなじみのタイトルバックが流れます。
基本的にはビームLDのままですが、ビーム版LDはTHE WAY OF THE DRAGONと書体ロゴの違うものが使われています。
気にしなければこれで構いませんが、私はオリジナルのWAY OF THE DRAGONの書体を使いたかったので、TV放映版を無理やりシネスコサ
イズに変換し目立たないようにフェードをかけました。
ここまでは作業が面倒な割に復刻してもあまり意味のない部分ですから気にしない方は妥協して他の素材で我慢するのもよいと思います。

ここからは音声は英語を使います。これは英語版であればどの素材を使っても同じです。
ただ、注意しないといけないのは、香港版やUK版を素材として使う場合、PAL方式でテレシネ速度の違いによりスピードが微妙に違います。
従って、国内の物を使う方が無難です。
一番お勧めはビームのDVDです、広東語も英語も音質に大きな差がありません。
ブルース・リー大全集(LD)のドラ道も音声が両方あって楽なのですが、聞くとわかりますがあのLDは英語音声があまりにも悪いのです。
我慢できる方はそのまま使用されても大丈夫ですが、音質の差がありすぎるので切り替わりが目立ちます。
復刻作業はどこまで妥協を許すか、許さないかで変わってきますので、自分なりに無理なところはアレンジをしていただいてかまいません。

本編作業

タイトルから本編へこの辺は英語版のままでOK!
加工はチェンの車にタンロンが「BMW?ムスタング?ンーイッツア ロウ」 チェン「ンンンッ!」の直後、車の発進する音をLPレコード版の同じ
シーンに変換します。(ここにチェンの声とマイレメの主題歌が重なるバージョンが入ります。)
ここで気をつけないといけないのは、TV放映版の主音声ではLP版の怪鳥音入りの主題歌が、かかりますが本当は違います。
一応Tamレコードは日本公開版のフィルムで作られていますのでそれに沿って作ると正しい物が出来るでしょう。
(一部の箇所ではBGMが抜かれていますが)
ただし「ブルース・リー讃歌」は日本版制作前のようでこのシーンでもBGMはありません、
TV版の副音声ではCMのためこの位置でカットが入ります。よってLP番を使うのがベストです。
そして、チェンとタンロンが車を降りてドアを閉める音で元の英語音声に戻します。
大体あっていれば違和感がないので簡単だと思います。

ここから長い間英語版のままで大丈夫になります。
次に変換するところは2度目のチンピラたちの登場後、「外に出ろ!」ジミー達が外にでるところから忙しく変換の始まりです。
※ここでは分かり易くするため英語版広東語版を色分けして進めます。

ジミーがデブッチョにパンチを喰らい倒れます。
タンロンが言います。「Well show him chinese boxing」グン「Yeah. chinese boxing! 」
太鼓の音 ドンダダンダダン・・・・・・ジャーン デブッチョ「aaa nn 」※タンロン(怪鳥音)「Achaaa! yihohoo」
タンロン「Movement number4: dragon seeks path.」怪鳥音「Achaa!!fo!」タンロン「Dragon whipsits taill.」
効果音 ドーン!&従業員の声(デブッチョ、ダウン)BGMズーンチャチャ、ズーンチャチャ・・・(黒人がボクシングスタイルで構えるところ)ここ
からチンピラを全員倒すまで広東語版のままOKです。
ただ、上記の切り替えでは実際には※印で囲んだ箇所がSEと怪鳥音が重なって上手くつながりません。
そこで、※印の箇所はレコード(CD)の音源で入れ替えるとスムーズになります。
最後のチンピラに蹴りを入れた後、タンロンのアップから次の場面で英語版に切り替えます。ちょうど従業員がタンロンに駆け寄るところ
です。

次の変換箇所はチェンの部屋へタンロンと2人で帰ってくる場面です。
部屋で待っていたチンピラが「shutup! now move」の台詞の次のシーンでタンロンが竹の矢を投げるシーンから広東語版へ変換「アチャアチャ
アー・・・」
チンピラが倒れてタンロンが部屋から引きずり出すシーンのあたりで英語版に戻します。
BGMが流れているのでなるべく目立たない部分(BGMの途切れ目)で変換すると自然です。
ピストルをタンロンが投げ捨てて「see you」までには英語に戻しましょう。

その後、チンピラはボスに、こっぴどく怒られます。
それをオカマ通訳が(?作品違うぞ!)弁明します。「そいつはカンフーの達人でして・・・」
ボス「kung fu?」
次のタンロンに変わる太鼓の音と共に広東語版に切り替えます。
朝のトレーニングシーンは広東語版で最後の突きを入れた後、臭いをかいで画面からタンロンが出ます。
次の場面(チェンが朝食を用意した食卓)で英語版に戻します。

次の変換はローマ見物から帰ってきた2人をチンピラ&ボスが待っているチェンの店での場面です。
銃を突きつけられたタンロンがチンピラ達と外に出るシーンで広東語に変換です。
ですが、このシーンはデブッチョの声が英語版と広東語版が混ざっています。
銃を突きつけて外に出たデブッチョは仲間に命令します。
「Go and see if anybody's around」
「put your hands down」
微妙なところで広東語になります。出来れば台詞に入る瞬間に切り替えるといい感じになります。
この後はタンロンが大暴れで広東語版でいいのですが、デブッチョが応援を呼びに店に戻ります。
タンロンが戦っている場面が、デブッチョの店内に入ってくるタイミングで英語版に戻します。
デブッチョ「Listen...listen.....」ボス「Go and get him ... but no guns」
この台詞の後、タンロンの格闘シーン切り替わります、その場面切り替えに合わせて広東語版に変換します。
従ってデブッチョの 「Get him !」は広東語版の台詞を使います。
格闘シーンはもちろんそのまま広東語版でOKです。
デブッチョが倒されてタンロンがヌンチャクを手に店に入ります、入ったタイミングで英語に戻します。
少し遅れると広東語版のオカマちゃんがチェンを説得している声が入ってしまいます。
その後タンロンの「Hello」の後、広東語版に切り替えます。
逃げようとするボスにタンロンがヌンチャクを投げつけるシーンの直後、英語版に戻す。

次!レコードでは「午前0時の狙撃」のシーンです。ほとんどファンの方ならばわかっておられると思いますが、タンロンがチェンに「Don't move」
といいチェンの部屋から向かいのビルに登っていきます。BGMに気をつけながらタンロンが屋上の扉のノブをひねるところで広東語版に切り替
えます。
チンピラが銃を打つところで変えると目立ちにくいです。
SE「バキューン、バキューン!!」タンロン「オオオッ!」「アチャーッッ!」SE「ピュッ!」チンピラ「うっ!」BGM・・・・・
といった感じですね。

次!チンピラのボスのビルに連れて来られたチェンにオカマちゃんが脅迫する、レコードでの「脅迫」です。
チェン「Tang Long will be along here shortly.」
オカマ「tang Long? .......he is seeking peace with his maker.」

口笛の後から切り替えるのが自然に自然になりますが・・・問題はこの部分です。
ダーツを投げる部分の「ハァ〜ッ!オオッ!」の声が英語版にも広東語版にもありません。
ここで使うとすれば、TV版の副音声がベストです。この場合主音声でも使えるはずです。(不要な音が重なる事があります。)
出来ない場合は、レコード(CD)の音声を使いますが、レコード音源にはBGMがないので広東語版と音声をミックスしなければなりません。
その後は広東語版を入れてもOKなのですが、タンロンがダーツを胸ポケットに入れた後に、向かってくるチンピラを往復パンチを喰らわす部分の
怪鳥音がないので、レコード音源より取り込みます。「アチャー!アジョ、アギョオオッ!」みたいな怪鳥音の部分です。
出来る事なら、この部分はほとんどTV版の副音声からの音を使った方がベストです!(私はTV副音声を使いました。)
なぜなら、口笛のシーンからチェンの「oh! Look out !」の箇所まで仲間が戦うシーンの音声が、英語版とも広東語版とも北京語版とも違うのです。
その他のバージョンを持っていないので確認できないのですが、この部分の復元難しいですね。

その後、タンロンが上着を脱ぎ捨てると同時に広東語音声にレコードシングル盤のB面のビッグガイをミキシングします。
ドラ道シングルVol.1のB面以外ではビッグガイは怪鳥音が入ってしまいますので、これを使いますが、現在トライアローで発売されているCDでは
怪鳥音無しのビッグガイが入っているのでそれを使うと宜しいです。
その後は、広東語版+ビッグガイの状態でOKです。たとえ、ビッグガイと元音声の太鼓の音が入っても大丈夫!そのままです。
タンロンが天井の蛍光灯を「アチャァ!」と蹴り割ったところでビッグガイをフェードアウトさせます。

その後、無音部分があります、適当な場所で英語版に切り替えてください。
チェンの「Their boss is over there.」までには英語にしましょう。その後は英語のままでOKです。
注:レコード版にはなぜか?このシーンで空き地の決闘シーンで使われる怪鳥音が挿入されていますが、この怪鳥音は本来は使われていません。
間違って使わないように・・・というか使う箇所がないよ。

次は!空き地の決闘だ!レコードで言えば「罠」です。
ドンダン、ドンダン、ドンダン、ドンダン、ダン!
二人の空手使い登場!ここで、ジミーがカッコよく言います。
「It's all right. Don't worry. The three of us can handle him.」
「Me first」仲間が戦う!次々に戦うが!ボコボコ!
ジミーが倒され、ロバートにとどめのパンチを2発!
タンロンはそれを見て前に出る!この瞬間BGMのビッグガイを挿入!英語+レコード:ビッグガイ
タンロンの怪鳥音(偽)「ウニャァ〜!」「You Tang Lung ?」「Tang Loung」・・「アチャア!」ここからは広東語版+BGM
最後までこのままではいけません。ウォン・インシックの「おもいわぁタンロンぐあ」を使ってはいけないからです。
どうしても使いたい人はそのままでいいですが、その部分だけ英語版「Is your name TangLung ?」に変えてください。その後は広東語版
ロバートを倒した後、ウォン・インシックの方にタンロンが歩いていきますが、このときBGMで太鼓の音が入りますが、これはカットしてビッグガイのみに
します。
この後「おもいわぁタンロンぐあ」とご丁寧に2回目も言ってくれますがこれも英語版に切り替えて下さい。
その後は広東語版でいいのですが、一度倒されたウォン・インシックが起き上がる時に(ちょうどワン伯父さんがこちらに走ってくるのが見えるところ)で
打楽器が「キッキッ!」とBGM鳴りますがその音はカットして下さい。「アーイタ」は広東語版でその後、ジミー達がウォン・インシックに襲い掛かります。
この部分で英語版に戻します。「Hey, leave him if he give up.」
この部分は以上ですが、丸々レコードでこの部分が収録されているので使っても良いのですが、私の経験から言って音が合いません。出来れば
上記のやり方でトライしてください。

次にタンロンはオカマを追ってコロシアムへ向かいます。すぐにタイトルバックが流れますが、ここは英語版のままでOKです。
コロシアムのやや、ふかん撮影の場所でオカマちゃんの声が響きます「TangLung...the man you saw just now will kill you.」
will kill you...will kill you.. と2回目のエコーあたりからタイトルバックの頭の欠けた感じでBGMを流します。
しかし、ここはレコードの同部分を当てた方が楽なのでその方法をお奨めします。そうしないとBGMがダブります。
私はレコードを使いました。多少タイミングがずれますが、工夫をして下さい。
レコードのオカマ台詞「TangLung ! soon will be a dead man. Hahahahaha....yhehehehe...」の部分でBGMに注意しながら(ジャ〜ン)ビデオの音声に戻し
ます。
ここからはずっと広東語版で音入れです。
準備体操&格闘はすべて広東語版です。猫の声は両バージョン同じようです。
英語版に戻すのはチャックノリスを倒した後の「You bastard !」で英語版に戻します。

この後は広東語版は不要です。ボスの銃に対して応戦する時の怪鳥音は偽でOKです。
そして警官が来てエンディングを向かえますが、このエンディングのBGMが日本版オリジナルでレコードに収録されている物では再現できません。
したがって、ここ部分はTV版副音声がないと再現できないと思います。(無い方はそのままの音声を使ってそれらしく作ってください。)
グンの台詞の途中からシングルバージョンマイレメ主題歌がかかります。
「In tis world of guns and knives, wherever tangLung may go to, he will always travel his own.」台詞が終わると同時に!
♪ギョ〜オ!ッ チャラララチャ、チャララララ!(私の場合この部分で瞬間にクロスフェードをさせました。)
Where there's darkness There will be bright light Where there's meekness There will be might
And when man strives There will be new life That's the dragon's way The way of life
You know darkness For there'll be bright light And from meekness There will come might
And when man's hopes Give birth to new life And the way will come The dragon's way
And when man's hopes Give birth to new life And the way will come The dragon's way
After darkness Always comes bright light From the meekness Will come the might
And when man strives There will be new life For the dragon's way The way of life

私の記憶では(たけ坊さんも同じでした。)エンディングの画面ではタンロンが最後まで歩いて消えたところでストップモーションになりエンディング
テロップが流れたと思っています。その最後に龍のイラストと共にTHE ENDの文字で終わりです。

上記を再現するためにポニーのLDを使いました。これはテロップなしでタンロンが奥まで歩いていくためです。
そこでストップモーションをかけてエンドテロップを流してみました。
こだわる方はポニーのシネスコの位置を下に下げる必要があります。最後の龍のタイトルはTVの物を加工して使いましょう!
これが出来れば!もう完成です!
以上、私の製作過程を記してみました。いかがでしょうか?少しの技術と根気があれば復刻は可能です!是非チャレンジしてください。

後は、音の合せ方ですが方法は色々あります、私の場合業務用の編集機を使ってアフレコしておりますが、パソコンを使ってWAVファイルを作って
画面と合わせる方法、DVをお使いでしたら編集精度が最近はプラスマイナス1フレームくらいなので十分アフレコが出来ます。
多少、原始的な方法ですがMDに音を録ってダビング時に同時に再生する方法もあります。
あなたの、オリジナル復刻ビデオが出来上がることをお祈りいたします。

これを読んで、「こんなこと出来るか!」「そんな暇あるか!」とおっしゃられるようでしたら・・・私のほうにメールをいただけたらと思います。

(2001.9.30 AK)

 
 現在はこんな面倒な事しなくても
アルティメットエディションのブルーレイで見ることが可能でーす。


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